2012年のスペリオ城北

北区十条にはJリーグをめざすサッカーチームがある。現時点(2017年)で東京都2部リーグに所属しているスペリオ城北は、Jではない地域リーグのクラブとしてはサポーター、スタジアムに恵まれた幸せな状況だと思う。以前に自分が更新した2012年も東京都2部リーグに所属していたのだが、その後1部に昇格し残念ながら降格、再び上を目指して戦っている。順調にいったとして(非常に大変な問題をクリアしていかなければならないが)東京1部、関東2部、関東1部、JFLと最低でも5年をかけて晴れてJリーグに加盟できる。今後もぜひ追いかけて、可能であればもっと深く書いていきたい。

20120908更新-再掲
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最初にまず説明を。この記事はスペリオ城北というよりもサッカー日本代表くらいしか興味がない、そして日本のサッカーリーグの仕組みを知らないひと向けに書いてみた。スペリオ城北のサポーターはもちろん、サッカーファンだと自称できる方には退屈なエントリーかもしれない。

十条にはためくキツネのフラッグ。

最初にスペリオを私が認識したのは、自分が十条に来てからよく目にしていたお店にあったフラッグだ。なるほど、地元に意外と本格的なサッカーのクラブチームがあるのだな。その時はその程度の認識だった。そしてこの夏、とあるバーのママに誘われたのだ。「一緒に地元のサッカーチームを応援しませんか?」
エンブレムの5つの桜は北区を含む城北地区の5区を表している。

 

とある週末、十条から歩いた先にあったもの。

赤羽スポーツの森公園競技場、スペリオサポーターは“赤スポ”と呼ぶそのスタジアムは、十条駅の横の“バス通り”をひたすらまっすぐ進んだ先にある(十条駅から自転車なら10分もかからない。)。その手前にはサッカーファンならおなじみの西が丘サッカー場(味の素フィールド西が丘)が。十条近辺の方なら冬の高校サッカーの、東京都大会決勝が行われる場所として有名かもしれない。ちなみに何度も高校日本一に輝き、プロ選手を輩出してきた帝京高校も十条にある。 その赤スポは、非常に快適な観戦環境だったと感じた。サッカーの公式試合会場で利用される人工芝は、土や芝が禿げたグラウンドを予想していた自分にとってはかなり新鮮だった。スタンドの椅子部分は個別に分かれており、ナイター施設も完備。夏の夜、ゆっくりと楽しむことができた。


スタジアムは小さいながら屋根も付いている。

楽しめたのは環境だけではない、試合の雰囲気が非常に素晴らしかった。初観戦では、ほとんど調べもせずにサッカーファンである家族と一緒に訪れた。プロであるJリーグのチームや、エリートの選抜である大学チームと比べれば、レベルは落ちるだろうと考えてはいたものの(もちろん高いわけではないけれど)、非常にアグレッシブで十二分に楽しめた。体力はともかく技術的に高い選手も何人もいた。

そしてブルーのユニフォームやTシャツを着たいわゆる“ゴール裏のサポーター”たちも10人以上は居ただろうか。(もしもっと居たら申し訳ない)同じくチームのユニフォームを着た子供たちを含めるとかなりの人数だった。 ゲームは負けてしまったが、試合終了間際に背番号27の成岡選手がセンターサークル近くから直接FKを叩き込んだシーンなどは、週末のエンターテイメントを求めてやってきた筆者の家族も大満足だったようだ。ちなみにこのFKのシーンは、Youtubeでみることができる。地域リーグの試合が美麗な映像で共有される!オールドファンである筆者は隔世の感がある。

スペリオはまだJリーグのようなプロチームではない。座席も用意され、サポーターも(子供たちも)盛り上げていても、こんな歓喜を爆発させるシーンを生でみることができても観戦は無料なのだ。

声だし、旗振りなどのコアサポーター以外の観客もグッズを購入し応援していた。

夢物語ではない、東京都・城北地域からJリーグへの道程。

名前の通りスペリオ城北は十条地区がある北区を含む、東京の城北地区という、広範囲な地域をホームグラウンドとするサッカーチームだ。中田英寿が最初に所属した、神奈川の湘南ベルマーレなどJリーグにも同様のチームは存在する。 2005年に城北ランシールズというチーム名で発足し、2009年に現在の名称で活動を続けている。目標はJリーグに上がることだ。日本のサッカーチームは、理論的にはアマチュアのリーグを勝ち続けていけば、トップリーグであるJリーグに昇格できる。たとえば東京で友達同士で11人のチームをつくり、東京都リーグ、関東リーグ、アマチュアのトップであるJFLのリーグを勝ち続けると、そのチームがJリーグのチームになり、日本代表選手たちと対戦することも可能なのだ。 だが勿論そのためには勝つだけではだめで、Jリーグすなわち有料試合ができるスタジアムを使えること、などの条件もあるのだけれど、勝っていかなければならないことは間違いない。スペリオは現在東京都リーグ2部を戦っている。東京都1部、関東リーグ2部、関東リーグ1部、JFL、そしてJリーグという順番だ。

スペリオのキッズ向けサッカースクールの子も立派なサポーターだ。

サッカーというエンターテイメントのある日常。

簡単ではない、だが夢物語でもない。若い人はご存じないかもしれないが、30年も前には日本がワールドカップに出ることやオリンピックへ当たり前のように出場することは夢のまた夢だった。日本代表の試合はTVで放送される機会も少なかった。筆者は満員にもならない西が丘サッカー場(当時)で、代表の試合を観戦したこともある。 今や毎週プロサッカーのリーグ戦が行われ、プロチームは40チームを数え、日本にはスペリオのようにJリーグを目指す“地域に愛されるサッカーチーム”も数多く存在するようになった。たくさんの選手が海外に渡り、世界的なサッカーチームである、マンチェスターユナイテッドのレギュラーを張る選手も出てきた。

全ては、望んで努力したからこそ実現したものだ。サッカーの神様は求める者たちを見捨てることはない。それは歴史が証明している。

最初の試合は負けはしたものの、FKの興奮冷めやらぬなか「ぜひ次もみたい!」私も家族もそう思った。サポーターたちは試合後は今日はありがとう!また来てください!と、親しみをこめて挨拶をしてくれた。2週間後、次の試合は家族がもう一人加わり3人で観戦することになった。その試合は見事に快勝し、「あのゴールは…!」「これからも行かないと!」そんな会話を3人でしつつ徒歩で帰路についた。サッカーを見続けてきた筆者の、求めていた日常がそこにあった。

夢を信じない者の夢がかなうことはない。絶対に。

赤羽スポーツの森(赤スポ)

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